しかし「明るい=白い」ではなく、紙の白を残すのは、光が最も反射している部分(ハイライト)だけで十分です。
私のレッスンでは、最初に8種類の濃さの鉛筆をご用意いただき、最初のレッスン日に全ての鉛筆の濃さやかきごこちを試していただくワークがあるのですが、
実際にモチーフを描き始めるようになると、たいていの場合、H、2H、4Hといった、色の薄い鉛筆は、使い所がわかりづらいようでなかなか手が伸びません。
また、実際に使ってみても、あからさまに色が着いたように見えないと不安なのか、つい筆圧を強めにしてしまい、「間違えた、と思って消すと、紙に芯の跡が凹んで残ってしまう」となかなか悩ましい硬さを持った濃さです。
とはいえ、鉛筆は、芯が紙に触れるだけでも芯の粉が紙の表面に付きます。その分だけ色は着くので、モチーフの明るい部分に思い切って使ってみましょう。
「産まれたての子猫の頭を撫でるように」
2H、4Hなどの色の薄い鉛筆=芯の硬い鉛筆を使う時に、私がしばしば生徒さんに言うことです。
芯が硬い鉛筆は芯が折れにくいので、カッターで削りながら芯が見える部分を長く作ることができます。ですので、鉛筆を思い切り寝かせて、芯の腹を全部使うつもりで、可能な限りの弱い筆圧で描いてみましょう。
「産まれたての子猫の頭」は、どのくらいの弱さにしたらよいのかをイメージしていただくための比喩です。産まれたばかりの動物はとても小さくて、力を入れて扱うと壊れてしまいそうですよね。
そのとき、どのくらい優しい気持ちで触れるかをイメージしてみるのです。
鉛筆の色が乗った部分は、もう真っ白ではなくなります。
ほんの少しの色味の変化でも、紙面全体の雰囲気が変わることに気づくと思います。