2016年09月21日

【たまには色を使ってみることもあります】

静物デッサンの最初の12テーマのベーシックレッスンは、どの生徒さんも同じ内容とモチーフで行います。その後は個別の継続レッスンになり、マンツーマンの利点を生かして生徒さんごとにレッスン内容を組み立てます。

ある生徒さんは、もともと塗り絵が好きで、何度か作品を見せていただいていました。

その時に、色の選び方が繊細だな、という印象を受けていたので、いつかレッスンでも色を使ったものをやってみたいなと、私自身が考えていたのでした。

それで、たまには、と色鉛筆を使って塗り絵。
洋書の塗り絵本なのですが、細密ながらも骨太な線画が魅力的な絵。
この塗り絵を、デッサン的な観点で完成させていただこうと思いました。

デッサン的な観点で、というと少し抽象的ですが。。。
「明暗や陰影など立体感を考えながら色を選ぶ/色を塗る」ということをテーマに設定しました。

色を扱うということで、色相/明度/彩度をはじめとする色彩理論の導入的な内容をレジュメにして、簡単に色彩の知識を整理した後で、塗り絵に取り掛かっていただきました。

手順としては、
(1)下絵にトレーシングペーパーをかけ、鉛筆でおおまかに明暗の計画を立てる
(2)そのトレーシングペーパーを時折、塗り絵にかぶせてみて、明暗計画を確認しながら塗り進める

という感じです。

塗り絵は線画そのものが平面的なのと、配色の楽しさの方にやはり集中してしまうので、立体感を意識し続けるのは難しかったのですが、

色鉛筆どうしの混色で、同じ色相でも陰影の色と光が当たっている色を塗り分けたり、稜線の部分を強調してみたり、ハイライトの部分を白く残したりと、生徒さんなりに積極的にチャレンジしてくださいました。

ブログには、私の塗ったものを載せます。
レッスン2回のうち、合計2時間半ほどの制作時間なので、まだもう少し時間をかけたいな、というところでタイムアップでした。

塗り絵が好きな生徒さん。レッスンで一緒に塗り絵をしました。立体感や陰影を意識した色選びや着彩をテーマに、色彩理論も少しレクチャーしました。


日頃のレッスンでは、複数の色を使うような画材でのデッサンはお勧めしていません。
複数の色を使うことだけに慣れると、画面構成の全てを色に頼るようになるリスクがあります。

鉛筆一色で描くからこそ、明暗のバランスやタッチによる質感の描き分けなどの鍛錬に集中できるので、レッスンでは、基本的には鉛筆の使用に限定しています。
(もちろん、ご自宅でのご自分の作品は自由な画材で描いてください、とお話しています)

この生徒さんは、また次回から鉛筆デッサンに戻りますが、時々気分転換するのもいいかなと思ったので、いずれまた、ご一緒に塗り絵をしてみたいです。


posted by アトリエうみねこ at 20:15| レッスンの様子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする