2017年10月09日

【グラデーションとお年頃、技法に目覚める】

私のレッスンは原則として鉛筆デッサンですが、小学生、中学生などのお年頃の生徒さん(人数は少ないです)には、フレキシブルな内容になっており、着彩も含めて教えるということが多いです。
色鉛筆であったり、水彩であったり、それはお子さんごとの流れで決まってきます。

あるお子さんのレッスンで、お互いに「ゲーム」と呼んでいるドローイングワークがあって、そのひとつに、ランダムに描いた線描きの中に何か「形」を探して好きな色で塗りつぶす、というものをやることがあります。

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画材は水彩色鉛筆です。「色鉛筆なのに、水に溶ける」という画材の特性に魅力を感じたようで、学校教育では使わない画材ですが、使ってもらっています。

その中で凝っているのが「塗りのグラデーションを作る」というものです。
徐々に色が変化していくという感じの美しさがツボに入っているらしく、グラデーション、グラデーション、と熱中しています。

私自身、グラデーションの概念を明確に習ったのは中学校のはずですが、グラデーションを美しいと感じる感覚は小学生の時からありました。当時、グラデーションの模様が印刷された折り紙があり、その折り紙が欲しくて親に何度かおねだりした記憶があります。

子どもの発達には、個人差はありますが、だいたい「このくらいの年齢や学年になると見えてくる傾向」というものはあるように思います。
ですから、グラデーションだけでなく、技法というものに敏感に反応し始めるタイミングというのはあると思います。そのタイミングをどこまでこちらがつかむことができるのかが重要です。

私は教育学の専門家ではありませんから、自分の記憶と、これまでに習いに来てくれた生徒さんたちとの経験だけが頼りではあります。もちろん、本を読んだり、ネットで情報収集したり、その他の努力もしますが。。。

これはひいては大人の方へのレッスンにも通じることだと、考えています。
レッスンは、お互いに先生と生徒という役割の中で進行してはいても、一方的な技術の伝達と、それができなければダメ、で終わるのでなく、生徒さんの側も、発見したこと、気づいたこと、遠慮せずお話ししていただけると嬉しいです。

お互いに反応し合うことで、絵を描くことに対する愛情が深まっていく。。。というのが、私には理想的なレッスンだと思います。

私自身、絵描きとしても、人間としても、技量が試され蓄積されていく感じがしています。

(補足:当レッスンは基本的には大人向けの内容です。子どもさんのレッスンもご希望があればお引き受けしてきましたが、造形教室ではありませんので、デッサンに根ざした絵を描くこと以外のレッスンは行いません。事前に保護者の方と面談の上ご理解いただいております。)
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2017年09月29日

【時間を区切ってデッサンを確認する】

最近、少しずつ試しはじめていることがあります。
生徒さんのデッサンの進捗を10分とか5分とかの短い時間でアラームを設定することで区切り、単位時間ごとに生徒さんにヒアリングをし、次の単位時間にどこをどう描き進めるかを決めてから、また10分とか5分で描いてもらう。

それを繰り返すのです。

ある程度の進捗がみられてからでないとヒアリングも漠然とするので、最初は30〜40分ほど集中して描いていただきます。

その方式を試しはじめた直接的なきっかけはないのですが、ある生徒さんのレッスンでふと思いつきを思い出して試してみて、うまくいきそうな感触があったので、他の生徒さんにも広げていくようになりました。

生徒さんの悩みで多いものに、

ここからどう描き進めたらいいのかわからない
どのくらい描き込まなければならないのかわからない
一ヶ所に集中すると他の所を描くのを忘れてしまう
◯◯な感じにしたいのにできない

というようなものがあるのですが、
デッサンは手順が全て、と言い切る人もいるくらい、進捗を冷静に把握しながら手順を組み立てて進める必要があります。

ただ、進捗を把握しろと漠然と言ってもどうしたらいいのかわからないと思います。

そこで、単位時間を計るということで、強制的に振り返りの時間を作ることにしたわけです。
単位時間を何分にするかは、生徒さんごとに異なっていて、そこは私の直感で決めています。

この方式では、進捗を把握するとともに、次の単位時間で何をするのかを明確にできるので、少なくとも「次どうしたらいいのかわからない」と不安になりながら漫然と描く必要はなくなります。

ただ、やはりヒアリング〜前回ボケボケの写真でご紹介している板書でのまとめ、が肝になるので、よほど的外れの時は別として、できるだけ会話のキャッチボールで生徒さんの自主性を引き出せるようにしなければなりませんし、いまのところ、私自身のキャパシティの問題でマンツーマンの時にしかできないなと思っています。

考える時間を与えると、人は考えるようになります。手順を考え、組み立てながら、デッサンを進められるようになるトレーニングとして、もうしばらく続けてみようと思っています。
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2017年09月24日

【生徒さんとのヒアリング 〜 陰影より光に焦点を当ててみる】

マンツーマンのレッスンでは、完全に一対一という利点を活かして、継続レッスンの生徒さんに対しては、レッスン中にヒアリングを行うことがあります。

ヒアリングのタイミングというのは、生徒さんご自身に何か迷いや悩みが見えるような時とか、私が生徒さんのスキルに応じて決めているレッスン内容そのものが本当にマッチしているのか?というずれを感じた時とか、なので、定期的に行っているわけではありません。

ヒアリングはこんな感じに、生徒さんの発言を順に板書しながら行います。
(具体的な内容についてはぼかしをかけましたので、板書の雰囲気だけご覧ください)

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ある生徒さんは、ずっと私の方で課題を提示してレッスンを続けてきたのですが、私がその生徒さんに要求していることが生徒さん自身にあまり実感できないということで、途中で大きくレッスンの方針を変えました。

しばらく、モチーフデッサンとヒアリングを繰り返しながら、お互いの考えに一致を見たのが「色の階調幅を広げる練習に集中してみよう」ということでした。

私の最初のレッスンカリキュラム「ベーシックレッスン」では、モチーフ本体の明暗の捉え方は、光源と面との関係を性をざっくりと覚えていただくために、「明るい」「中間色」「暗い」の大きく3階調で観察していただくようになっています。

デッサンの練習を進めるにつれて、その3階調から階調数を少しずつ増えし、微妙な色の変化を観察/描写できるようにしていくのですが、その微妙な色の変化のうち、明るいほうの階調がどうも苦手なのではということになりました。

何度か白いモチーフのデッサンをしてみた後、光が当たることによる明るさをもっと直接的に意識してみようと、キアロスクーロを試してみることにしました。(以下、デッサンは私の制作サンプルです)

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最初は、グレー系の中間色の紙に、黒と白のダーマトグラフを使っていましたが、黒色を使うと「どうしても「陰影を描かなければ」と全体が真っ黒になってしまう」ということで、現在は紙の色を黒にして、白のダーマトグラフだけを使って描いていただいています。

今まで描いたのは、オーソドックスに卵とか、立方体、円すいなど白い物体。

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それから、試しに黒い物体としてナスを描いてもみました。黒いモチーフは、また描いてみたいとのことで、次回レッスンでは別の黒いモチーフを用意する予定です。

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この生徒さんは、現在は黒い紙に白で描くというパターンがなんだか心にマッチするようで、しばらくこれを続けたいとのこと。その後どうするのかについては具体的に決めていません。

ただ、紙=白で画材=黒、から紙=黒で画材=白、と全く逆方向の思考回路を使ううちに、今まで以上にモチーフを注意深く観察するようになり、色の微妙な変化に気付くようになってきたようです。

また丹念にデッサンとヒアリングを繰り返しながら、この生徒さんの今後のデッサンの変化を丁寧に見守っていきたいと思います。

「デッサンは観察が大切」と言葉で言うのは簡単です。
しかし、「観察するとはどういうことか」を、本人が明確に実感するまでの道のりは、ひとそれぞれです。

私は、ただ「観察しろ、よく見ろ」というだけではなく、手を替え品を替え、生徒さんなりにきっかけを掴むための、コーチとかカウンセラーとか伴走者のような役割でいられたらいいなと日頃から考えています。

私も生徒さんも、個性の違う人間同士なので、時にはお互いに噛み合わなかったり停滞する時期もあるかもしれませんが、生徒さんが諦めたくない限り私も諦めないという覚悟でレッスンを続けていきたいです。
posted by アトリエうみねこ at 00:33| レッスンの様子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする