2018年01月31日

【少しずつ、描き方が身についていく】

私のレッスンを受講されるようになり、4年目に入った生徒さん。
継続レッスンになって最初のうちは、私が色々モチーフを考えていたのですが、昨年あたりから積極的に「あれが描きたい、これが描きたい」とおっしゃるようになりました。

とは言っても、描きたいものは大きな動物だったり、実際に連れてくるわけにはいかないモチーフが多いため、時々は静物の立体デッサンを挟みながらも、写真模写を中心にレッスンが進んでいます。

新年最初のモチーフは、戌年にちなみ、犬。
犬種は「昔飼っていたので」ということで、ミニチュアダックスフンド。
書籍の中の写真をお手本に描きました。

今回は、生徒さんからブログ掲載のOKをいただいたので、生徒さんの作品を載せます。

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この生徒さんはよく「なかなか上手になれなくてすみません。。。」とおっしゃるのですが、レッスン以外にもかなり練習されているようで、時々スケッチブックを見せてくださいます。

今回のダックスフンドは、毛並みの質感にこだわってレッスン2回をかけて仕上げました。
最初は、ブラックタンの黒毛をどうしたものかと思案していらした様子ですが、練り消しゴムを「明るさを描く画材」として積極的に活用することや、質感のタッチの上に大きく色を重ね、さらに質感を描き込んで大きく色を重ね、という手順を覚えたようで、2回目のレッスン後半ごろには、「描いても描いても足りません」と集中され、「毛並みの微妙な色味の変化が難しいなあ」と奮闘。
1回目の時に比べると、ずいぶん毛の質感が上がったと思います。

今回は、何としても描きたいんだ、という気持ちがよく現れた仕上がりだったので、ブログに載せてみたいなと思ったのでした。

レッスンは新しいことにチャレンジしたり、技法が身についているかどうかチェックしたり、わかりにくところを解決したりする時間なので、私自身はレッスンで描いたものがうまくいったかどうか、ということはあまり気にしていません。もちろん、うまくいったほうが達成感がありますし良いのかもしれませんが。。。

人によって、上達の速度やタイミングは大きく違います。
ただ、レッスンではその人に必要なことをアドバイスしていますので、何度も繰り返し練習するなど実践を忘れずにいてほしいです。

少しずつでも確実に何かが身についていけば、いつか気付いた時には自分でも驚くような上達が待っていることと思います。

★★★★★★★

なお、今回モチーフとして参考にさせていただいた図版は、
誠文堂新光社さんの「ミニチュア・ダックスフンドと暮らす (決定版 愛犬の飼い方・育て方マニュアル)」(愛犬の友編集部編)です。
犬図鑑だと多犬種掲載されているものの大きな写真は少ないし、
飼育本だと全身の写真が少なかったり、
お手本として使える写真が掲載されている資料を探すのに何軒か書店を回りました。
posted by アトリエうみねこ at 20:43| レッスンの様子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月29日

【素描模写 - 色の階調】

新年明けて早くも1月が終わろうとしています。
新年のご挨拶がすっかり遅くなりました。
本年もよろしくお願いいたします。

年明けの生徒さんのレッスンは続々と始まっております。今年、この生徒さんはどんな感じにレッスンを展開していこうか。。。また二人三脚の気持ちで続けていきたいと思います。

さて現在、巨匠の人物素描を中心に、鉛筆で模写をしている生徒さん。
人物の肌の質感や微妙な丸みを描写するのに奮闘されています。前回まではルーベンスの素描をお手本にしてのレッスンでした。 (図版は私が生徒さんとご一緒に描いていたものです)

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模写は、ただそっくりに写そうとするだけではなく、どんな手順でこれを描いていたのだろうという技法的な面や、筆圧やタッチの速度など、色々な点について想像しながら描いていくところに意味があります。

人物画の場合は、肉付きや表情の特徴など、非常に細やかな変化をしているので、ちょっとした曲線の調子や色の細やかな階調の変化などに気を配る必要もあります。

色の階調、つまり白(紙の色)〜黒(描き得る限りの濃い色)の間の色の変化は、特に中間色のグレーをどれだけ豊富な色で描けるかが重要になってきます。

色を重ねていくのは楽ですが、加減するのは割と難しい。ちょっとした筆圧のコントロールと、色の変化を細やかに観察する目が肝心です。

この生徒さんは、レッスンの前半で、白〜黒のグラデーションをできるだけきれいに作る練習をし、筆圧の違いを特に認識されたようです。

最初は色味が乏しい感じの進捗でしたが、前回のレッスンで一気に色味がアップしました。
目の表情がかなり難しかったようですが、2時間のレッスンをやり切ったという様子で、今回で仕上げにしましょう、ということになりました。

この生徒さんは、次回はダヴィンチの素描模写に挑戦です。

模写を通じて、先ずはできるだけ使える色の階調のバリエーションを増やすことを目標に頑張ってください。

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2017年10月09日

【グラデーションとお年頃、技法に目覚める】

私のレッスンは原則として鉛筆デッサンですが、小学生、中学生などのお年頃の生徒さん(人数は少ないです)には、フレキシブルな内容になっており、着彩も含めて教えるということが多いです。
色鉛筆であったり、水彩であったり、それはお子さんごとの流れで決まってきます。

あるお子さんのレッスンで、お互いに「ゲーム」と呼んでいるドローイングワークがあって、そのひとつに、ランダムに描いた線描きの中に何か「形」を探して好きな色で塗りつぶす、というものをやることがあります。

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画材は水彩色鉛筆です。「色鉛筆なのに、水に溶ける」という画材の特性に魅力を感じたようで、学校教育では使わない画材ですが、使ってもらっています。

その中で凝っているのが「塗りのグラデーションを作る」というものです。
徐々に色が変化していくという感じの美しさがツボに入っているらしく、グラデーション、グラデーション、と熱中しています。

私自身、グラデーションの概念を明確に習ったのは中学校のはずですが、グラデーションを美しいと感じる感覚は小学生の時からありました。当時、グラデーションの模様が印刷された折り紙があり、その折り紙が欲しくて親に何度かおねだりした記憶があります。

子どもの発達には、個人差はありますが、だいたい「このくらいの年齢や学年になると見えてくる傾向」というものはあるように思います。
ですから、グラデーションだけでなく、技法というものに敏感に反応し始めるタイミングというのはあると思います。そのタイミングをどこまでこちらがつかむことができるのかが重要です。

私は教育学の専門家ではありませんから、自分の記憶と、これまでに習いに来てくれた生徒さんたちとの経験だけが頼りではあります。もちろん、本を読んだり、ネットで情報収集したり、その他の努力もしますが。。。

これはひいては大人の方へのレッスンにも通じることだと、考えています。
レッスンは、お互いに先生と生徒という役割の中で進行してはいても、一方的な技術の伝達と、それができなければダメ、で終わるのでなく、生徒さんの側も、発見したこと、気づいたこと、遠慮せずお話ししていただけると嬉しいです。

お互いに反応し合うことで、絵を描くことに対する愛情が深まっていく。。。というのが、私には理想的なレッスンだと思います。

私自身、絵描きとしても、人間としても、技量が試され蓄積されていく感じがしています。

(補足:当レッスンは基本的には大人向けの内容です。子どもさんのレッスンもご希望があればお引き受けしてきましたが、造形教室ではありませんので、デッサンに根ざした絵を描くこと以外のレッスンは行いません。事前に保護者の方と面談の上ご理解いただいております。)
posted by アトリエうみねこ at 19:42| レッスンの様子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする