2016年10月02日

【それぞれのスタンスでの「色」の感じ方】

レッスンは基本的にモノクロの鉛筆デッサンですが、適宜、簡単な色彩理論を盛り込むこともあります。

今回は、小学生の生徒さん向けに「色とイメージや感情を結びつける」趣旨の教材を手作りしてみました。配色カードを小さく切って並べ、それぞれの色片を教材シート上の分類に従って貼り付けてもらうというものです。

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写真は、教材の事前検証のために私自身が配色カードを並べてみたところです。

この教材は何が正解かというより、「好きな色」「嫌いな色」「元気が出る色」「悲しくなる色」など、各キーワードに生徒さんがどのように反応して色と結びつけたか、それを具体的に考えてもらうところにツボがありました。

まずは自由に教材シート上に色彩カード片を置いてもらいます。
迷うだけ迷ってもらいます。
これ以上変更はない、となった時点でシートに色片を貼っていくのですが、「どうしてこの色が○○だと思ったの?」と質疑応答を繰り返して理由も記入してもらいます。

なかなか明確な理由が出てこない、理由がまとまらない場面もありましたが、会話のやりとりのうちにまとまってきます。
今回の生徒さんは、どうしてもまとまらない時のために用意しておいた「よくわからなかった色はここ」というスペースは全く使わず、すべての色片に、何らかのイメージを一生懸命考えて結びつけ、教材を終えてくれました。

この教材は、例えば1年後にもう一度やってみると、違う結果が得られるかもしれません。
今回のレッスンが、色の印象や効果、役割などについて、その子なりに考察を繰り返してくれるきっかけになればいいなと思っています。

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ここからは余談なのですが。。。

おそらく一度でも色彩関連の勉強をすると、色に対する思考の流れが、体系的な理論の方に偏っていくのではと思います。

たとえば、「明るい色」という言葉から「明度の数値が高い色」を速やかに連想する、そういう感じです。

しかし人それぞれに、色に対する価値観や、ある色を直感的にどのように感じるか、という観点でみると、それまでの人生の積み重ねがいろいろ反映されていて面白いなと思うことがあります。

例えば以前、美容師の方と、色相と明度の関係についてお話ししたときに、配色カードのピースを2色ずつ並べ、どちらが明るい色かを答えていただいていたのですが、数値的には明度の低い色の方を「こちらが明るいです」とおっしゃるパターンがいくつかありました。

よくお話を伺ってみると、「色」という言葉からは、お仕事柄「カラーリングの仕上がりの色」が連想され、「明るい色」=「印象がビビッドな色」だと考える方がしっくりくるとのことでした。

色の感じ方や表現方法は人それぞれ。色彩理論の研究自体は尊重に値すると思いますが、こうやって様々な立場の方々の、色に対するスタンスを知るというのも、興味深いなと考えています。
posted by アトリエうみねこ at 23:23| レッスンの様子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月21日

【たまには色を使ってみることもあります】

静物デッサンの最初の12テーマのベーシックレッスンは、どの生徒さんも同じ内容とモチーフで行います。その後は個別の継続レッスンになり、マンツーマンの利点を生かして生徒さんごとにレッスン内容を組み立てます。

ある生徒さんは、もともと塗り絵が好きで、何度か作品を見せていただいていました。

その時に、色の選び方が繊細だな、という印象を受けていたので、いつかレッスンでも色を使ったものをやってみたいなと、私自身が考えていたのでした。

それで、たまには、と色鉛筆を使って塗り絵。
洋書の塗り絵本なのですが、細密ながらも骨太な線画が魅力的な絵。
この塗り絵を、デッサン的な観点で完成させていただこうと思いました。

デッサン的な観点で、というと少し抽象的ですが。。。
「明暗や陰影など立体感を考えながら色を選ぶ/色を塗る」ということをテーマに設定しました。

色を扱うということで、色相/明度/彩度をはじめとする色彩理論の導入的な内容をレジュメにして、簡単に色彩の知識を整理した後で、塗り絵に取り掛かっていただきました。

手順としては、
(1)下絵にトレーシングペーパーをかけ、鉛筆でおおまかに明暗の計画を立てる
(2)そのトレーシングペーパーを時折、塗り絵にかぶせてみて、明暗計画を確認しながら塗り進める

という感じです。

塗り絵は線画そのものが平面的なのと、配色の楽しさの方にやはり集中してしまうので、立体感を意識し続けるのは難しかったのですが、

色鉛筆どうしの混色で、同じ色相でも陰影の色と光が当たっている色を塗り分けたり、稜線の部分を強調してみたり、ハイライトの部分を白く残したりと、生徒さんなりに積極的にチャレンジしてくださいました。

ブログには、私の塗ったものを載せます。
レッスン2回のうち、合計2時間半ほどの制作時間なので、まだもう少し時間をかけたいな、というところでタイムアップでした。

塗り絵が好きな生徒さん。レッスンで一緒に塗り絵をしました。立体感や陰影を意識した色選びや着彩をテーマに、色彩理論も少しレクチャーしました。


日頃のレッスンでは、複数の色を使うような画材でのデッサンはお勧めしていません。
複数の色を使うことだけに慣れると、画面構成の全てを色に頼るようになるリスクがあります。

鉛筆一色で描くからこそ、明暗のバランスやタッチによる質感の描き分けなどの鍛錬に集中できるので、レッスンでは、基本的には鉛筆の使用に限定しています。
(もちろん、ご自宅でのご自分の作品は自由な画材で描いてください、とお話しています)

この生徒さんは、また次回から鉛筆デッサンに戻りますが、時々気分転換するのもいいかなと思ったので、いずれまた、ご一緒に塗り絵をしてみたいです。
posted by アトリエうみねこ at 20:15| レッスンの様子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月15日

【そろそろハロウィンの季節が近づいてきて】

継続レッスンの生徒さんの場合、基本的には重点課題に沿ってこちらでモチーフを用意しています。

しかし、ご本人にモチーフの明確なご希望がある場合、ご自分でモチーフを持参していただくということもしています。
今回持参いただいたのは、飾りかぼちゃとヒョウタンの大小の組み合わせ。
組み合わせ方は、3つを並列に並べてみることにしました。

まもなくハロウィンの雰囲気が街に溢れる季節に。いつも描きたいモチーフを持参の生徒さん、今回これに挑戦です。


3つのモチーフを並べたときに生まれる、大きさやボリューム感のリズムがあって可愛い、ということで、このようなモチーフ配置になりました。

2時間のレッスン1回では描ききれなかったので、次回レッスンも合わせて2回で完成させていただく予定です。

この生徒さんは、独特のムードのデッサンを、いつも仕上げてくださいます。
技術面ではまだ、いろいろチャレンジしていただきたいと思う課題はありますが、継続レッスンに入ったころから徐々にその個性が見えてきているので、それを失わないように大切にしながら、上達していただけたらいいなと思います。
posted by アトリエうみねこ at 14:03| レッスンの様子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする