今回は、小学生の生徒さん向けに「色とイメージや感情を結びつける」趣旨の教材を手作りしてみました。配色カードを小さく切って並べ、それぞれの色片を教材シート上の分類に従って貼り付けてもらうというものです。
写真は、教材の事前検証のために私自身が配色カードを並べてみたところです。
この教材は何が正解かというより、「好きな色」「嫌いな色」「元気が出る色」「悲しくなる色」など、各キーワードに生徒さんがどのように反応して色と結びつけたか、それを具体的に考えてもらうところにツボがありました。
まずは自由に教材シート上に色彩カード片を置いてもらいます。
迷うだけ迷ってもらいます。
これ以上変更はない、となった時点でシートに色片を貼っていくのですが、「どうしてこの色が○○だと思ったの?」と質疑応答を繰り返して理由も記入してもらいます。
なかなか明確な理由が出てこない、理由がまとまらない場面もありましたが、会話のやりとりのうちにまとまってきます。
今回の生徒さんは、どうしてもまとまらない時のために用意しておいた「よくわからなかった色はここ」というスペースは全く使わず、すべての色片に、何らかのイメージを一生懸命考えて結びつけ、教材を終えてくれました。
この教材は、例えば1年後にもう一度やってみると、違う結果が得られるかもしれません。
今回のレッスンが、色の印象や効果、役割などについて、その子なりに考察を繰り返してくれるきっかけになればいいなと思っています。
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ここからは余談なのですが。。。
おそらく一度でも色彩関連の勉強をすると、色に対する思考の流れが、体系的な理論の方に偏っていくのではと思います。
たとえば、「明るい色」という言葉から「明度の数値が高い色」を速やかに連想する、そういう感じです。
しかし人それぞれに、色に対する価値観や、ある色を直感的にどのように感じるか、という観点でみると、それまでの人生の積み重ねがいろいろ反映されていて面白いなと思うことがあります。
例えば以前、美容師の方と、色相と明度の関係についてお話ししたときに、配色カードのピースを2色ずつ並べ、どちらが明るい色かを答えていただいていたのですが、数値的には明度の低い色の方を「こちらが明るいです」とおっしゃるパターンがいくつかありました。
よくお話を伺ってみると、「色」という言葉からは、お仕事柄「カラーリングの仕上がりの色」が連想され、「明るい色」=「印象がビビッドな色」だと考える方がしっくりくるとのことでした。
色の感じ方や表現方法は人それぞれ。色彩理論の研究自体は尊重に値すると思いますが、こうやって様々な立場の方々の、色に対するスタンスを知るというのも、興味深いなと考えています。